2015年04月13日

子どもから学ぶ研究者としての素質 (奥田 貴史)

博士課程も終わりに近づき、博士課程への進学について学部生や修士の学生から相談を受けるようになりました。博士進学にあたってどういう能力が必要なのかよく聞かれます。ここを見ている方もまた、博士課程に行こうかどうしようか迷っていたり、若手の博士研究者で一生懸命研究している方たちかなと思います。
研究者として何を伸ばせばいいかを話せるほど一人前ではありませんが、少し視点を変えた話として、小学生くらいの子どもと触れ合う中で感じた研究者としての素質の話をしようと思います。

これまで、研究とは関係ありませんが、小学生くらいの子どもがいる学校をロボットを持ってまわって授業をするということをしていました。子どもが熱中して作業するなかで、実は子どもの頃には誰しも研究者として重要な能力が備わっているなと感じました:

(1)すぐちかよってくる、すぐさわる
子どもは本当に好奇心旺盛です。あたらしいことがだいすき。知らないことを知るというのは人間の本質的な欲求なのだと思うくらいに。何でもすぐに聞いてくるし、すぐに自分でやってみたくなります。大人も苦手なC言語だって遊びのツールです。難しいことも遊びの延長でどんどん挑戦します。

(2)しつこい
子どもはとにかく体力がある。朝から晩まで延々と続けられます。ロボットを教えるこっちがギブアップするまで続けます。細かい調整も満足するまでひたすら完ぺきに調整します。何度も同じことを繰り返す体力と根気があります。

(3)話を聞いてほしがる
子どもは出来たことをとにかく聞いてほしい。自分がいかに面白いことをやって、いかにすごいのか、とにかく聞いてほしい。年上年下関係なく、大人にだってまったく怖がらずに話をします。そして、新しいアイデアを見つければ、また(1)に戻ります。さっそく新しいものに挑戦します。

こうしてみると、実は子どもの頃にだれもが研究者として素晴らしい素質をもっています。でも、大きくなるにつれてすこしずつ失っていくように思います。私も耳が痛いことですが、「新しいことが覚えられない・めんどくさくなる・続けられない・自分の意見を言えない
などなど。

逆に、上の3つ:好奇心がある・根気がある・コミュニケーションできる、ということはそれだけ研究者として大きな素質で、学力なんかよりもずっと重要なことだなと、子どもをみていて感じました。

というわけで、子ども心を保つため、というよく分からない理由で毎週月曜日は週刊少年ジャンプを買い、スウェットで大学に通うという博士課程を過ごしました。幸い、好奇心のかたまりのような私は楽しく博士課程を過ごしました。博士進学をまよって相談にきてくれる学生がたまにいるので、上記のような話をしています。どんなに優秀な人でも、好奇心の薄い人は博士進学すると孤独感にさいなまれて辛いかもしれません。逆に、多少学力が足りなくても好きなことをやっていくうちに後から能力はついてくるものかもしれません。

子どもから学んだ研究者としての素質の話でした。

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奥田 貴史
京都大学大学院 工学研究科 博士課程3年

パワーデバイスとしてSiCのトランジスタと、関連する半導体物性を研究してい
ます。趣味でロボットもずっとやっていました。卒業後は研究から離れて企業で
ものづくりをするつもりです。
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